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マイナス金利の功罪:5 投機資本に先読みされた?

2016年02月23日 09時42分40秒 | 経済
マイナス金利の功罪:5 投機資本に先読みされた?
 1月29日、日銀はマイナス金利を2月16日から実施すると発表しました。
 マイナス金利とはどういうことかというのは別途論じたいと思いますが、今回の導入の目的は、この発表によって、国際金融市場の「サプライズ」を期待したということでしょう。

 つまりは、国際投機資本が「円が下がる、持っていると危険だ」と思わせ、円安を実現すること、本来であれば金融政策の手段を「為替政策」に使ったわけです。

 過去二回の異次元金融緩和も結果的にはそうだったことはすでに述べてきましたが、これ以上の金融緩、3匹目のドジョウはいないだろうと思われる中で、EUでもやっているマイナス金利に金融政策の選択肢を変えてみたという感じです。

 しかし、120円がらみでは、日本の物価は国際的に見て「もう高くない」という状況の中で、「それ以上の円安にしよう」という試みは、客観的に見ても些か無理でしょう。

 確かに国際投機資本はちょっと慌てたかもしれませんが、この不安定な世界経済情勢の中で、やっぱり安全通貨は「円」としか判断できないということで、円安はまさに「三日天下」の様相でした。そうなれば投機資本は円高を試します。その結果は現状です。

 2月12日の安倍・黒田会談で何が話されたかは解りませんが、政府にとっても、日銀にとっても、円のジリ高は最も懸念するところでしょう。もちろんtnlaboも懸念します。
 しかし、今の国際情勢と日本経済の現状(たぶん国際的に最も信用できる経済)を考えれば、円高の進行を阻止するためには、 小手先の策では無理でしょう。

 本来、マイナス金利というのは正常な経済状態ではありえないものです(次回論じたいと思います)。現状の日本経済は、国際比較すれば、間違いなく正常な部類に入るでしょう。その点からいえば、マイナス金利はもともとそぐわない政策だったようです。

 少し余計なことまで言えば、国際投機資本の思惑で日経平均は円レートとほとんどパラレルな動きを見せるというのが現状です。
 そして、現政権は、異次元金融緩和で円安と株高が実現したことを最大の成功として喧伝しました。 GPIFの株式運用を増やすという「勇み足」もやりました。

 本来、株価は「実体経済」回復の「おまけ」なのです。しかし、かつてAMAZONが利益がでなくても株価が高かったように、株価は先読みもします。先読みで上がった日本の株価に応える(?)ためにも、日本経済の「実体」改善が現政権に今求められる仕事でしょう。

 日本の実体経済が確りとバランスのとれたものになれば、円レートも株価も、落ち着くところに落ち着くのです。
 日本の実体経済のバランスの取れた健全化のために、このブログでは、金融政策の限界を指摘し、 「社会的」経済政策を言ってきたつもりです。

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